「その日の疲れはその日のうちに解消する」というのが理想ですが、現代社会では睡眠時間が減少傾向にあり、仕事やストレスなどが原因で、日々の疲れが少しずつ蓄積されていく「蓄積疲労」が問題となっています。
ここでは、そんな蓄積疲労の症状や予防法などについてご紹介したいと思います。
蓄積疲労とは?
蓄積疲労とは、その名の通り疲れが蓄積されていくことを言います。カラダが疲れた分だけ十分な休息をとれば、疲労は軽減されますが、仕事が過酷であったり、十分な睡眠や休息が取れないことが続く場合は、どんどん疲れがカラダに溜まっていくようになり、ひとたびカラダに疲れが蓄積されてしまうと、簡単には回復しなくなってしまいます。
しばらくの間このような症状に対しての病名はありませんでしたが、心療内科医である堀史朗氏がこれらの不調を「蓄積疲労」と名付け、1999年に発行した書籍で周知しました。
十分な睡眠をとっても疲れがとれなかったり、ちょっと歩いたり運動したりするだけで疲れてしまうなどの自覚症状がある場合は、すでに疲労が蓄積されている可能性があります。
軽度の場合は生活習慣や食事の見直しで改善することができるものの、ひどくなるとカラダのあちこちに影響を及ぼし、ひどい場合は動けなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
蓄積疲労の症状
蓄積疲労は徐々に進行していくため、初期の状態では、はっきりとした自覚症状が出ないのが特徴ですが、気が付いたら深刻な状態になっていることもあります。まずは以下の症状に当てはまるかをチェックしてみましょう。
軽度の症状
軽度の状態では、一日の疲れが溜まっている自覚はあるものの、朝起きるとある程度スッキリしているため、疲労が蓄積されている感覚はほとんどありません。しかし、物忘れが多くなったり、普段間違えないようなうっかりミスをしてしまったり、イライラして怒りやすくなってしまうなどの症状が現れます。
中程度の症状
中程度まで進行すると、日々疲れているという自覚症状を伴うようになってきます。まず、しっかり寝たつもりでも、朝スッキリしなかったり、日中もずっと眠いなどの状態が続き、集中力や判断力も低下。仕事にも影響が出始めてきます。慢性的な頭痛や肩こり、目の違和感など、多くの人がカラダの異変を感じるようになります。
重度の症状
重度になると、上記の症状に加えて目のかすみや耳鳴り、微熱や動悸などが現れます。さらに進行するとまっすぐ歩けなくなったり、床から起き上がれなくなってしまう場合も。精神面にも支障が出始め、うつ病や自律神経失調症などを併発したり、最悪死亡してしまうケースもあります。ここまできてしまうと自分で回復させることは困難となるため、医療機関などで治療や入院が必要になります。
蓄積疲労の予防法、解消法
蓄積疲労は、溜めてしまう前に解消し、予防することが大切です。症状が進む前にケアを行い日々の疲れを取り除いていきましょう。
毎日しっかり栄養をとる
しっかり食事をして栄養を摂ることは、疲労回復にはとても大切です。単に食事をするだけでなく栄養が偏らないよう、アミノ酸やビタミンB群、マグネシウムなどを多く含む食材を食べて、疲労回復に必要な栄養分を確保しましょう。
毎日お風呂に入る(40~42℃)
お風呂に入ることで、リラックス効果を高めて睡眠の質を上げることができます。また、お湯につかることで血行が良くなり、カラダの隅々まで栄養素が送られ、老廃物をしっかり排出する効果も期待できます。毎日お風呂に入って疲れをリセットするようにしてください。
毎日十分な睡眠をとる
休日だけはしっかり睡眠時間をとっている人も多いと思いますが、普段から一定の睡眠時間を確保するようにしましょう。早寝早起きを心がけ、最低でも1日6~8時間は寝るようにしてください。
定期的にストレッチをする
疲れているときほど、カラダを動かして血行を促進し、基礎代謝を上げることが大切だと言われています。ここでは蓄積疲労を予防するためのストレッチ方法とマッサージ方法をご紹介いたします。
蓄積疲労になったときの足のストレッチ
1.椅子の座面の左半分に座り、膝を座面の外側に出す。反対の脚は90度に曲げる。
2.手で足首を持ち、踵をお尻につけるように後ろへ引き上げる。反対も同様に行う。
※状態は床と垂直にキープする
蓄積疲労になったときの腰のストレッチ
1.仰向けに寝ます。
2.横向きになり右手で右足首を持って、かかとがお尻の横に来るようにまげます。
※完全に横になってしまうと腰を痛める可能性があるので注意。
蓄積疲労になったときの肩のストレッチ
1.姿勢を正し、頭が真上を向いた状態にします。
2.両手をそれぞれの耳たぶの後ろに当て、指を耳たぶの後ろに当てます。
3.指を軸にしてアゴを引きます。
蓄積疲労になったときの腕のストレッチ
1.腕の力を抜いてリラックスした状態で片方の腕を頭の真上にまっすぐ伸ばします。
2.頭の真上にあげた腕のヒジを曲げて、頭の後ろにまわします。
3.もう片方の腕でヒジを押さえて、頭の後ろの方に軽く引っ張ります。決して無理はせず、気持ちいいと感じるところで止めて、ゆっくり息を吐いて30秒キープします。
4.逆の腕も同様に行います。
蓄積した疲れはなかなか取れません。食事、睡眠、ストレッチなどをきちんと行い、疲れを溜めないようにしましょう。しかし、重度の症状がある場合は自分では解決できないこともあるので、少しでも早く病院で診てもらうようにしてください。