というわけで今回は、くしゃみによる腰痛の悪化を予防するために知っておくべき、腰痛とくしゃみの関係やくしゃみをする際の注意点について一緒に勉強していきましょう。
くしゃみで腰痛が悪化する?
長時間椅子に座り続けたり、カラダに合っていないマットレスで眠ったり、腰痛の悪化につながる原因は日常生活のさまざまな場面に潜んでいます。例えば、生理現象でもある「くしゃみ」もそのひとつです。私たちが普段何気なくしているくしゃみも、腰痛持ちの人にとっては大きな恐怖といえるでしょう。くしゃみをした瞬間に腰にひどい痛みが生じるというケースは珍しいものではないのです。
そもそも、くしゃみと腰痛にはどのような関係があるかを考えてみましょう。一説によると、くしゃみの速度というのは時速に換算して320キロ以上といわれていて、花粉症などの時期にくしゃみが続き、肋骨などを骨折してしまう人もいます。このことからも、カラダにかかる負荷というのはとても大きいことが分かります。同様に腰や椎間板にも瞬間的に大きな負荷がかかってしまうため、腰痛悪化の原因になり得るだけでなく、人によってはぎっくり腰になってしまうケースもあるのです。
こんなくしゃみが腰痛を悪化させる!
くしゃみは生理現象ですから、自分の意思でコントロールすることは難しいものです。とはいえ、腰痛持ちの人にとっては激痛の原因となるわけですから、腰に負担のかかるくしゃみはできるだけ避けた方がよいといえるでしょう。実際にどのような状態でのくしゃみが腰痛を悪化させてしまう可能性があるのかを知っておくことが大切です。腰に大きな負担がかかってしまうくしゃみ時の姿勢は以下の通りです。
- 立ったまま上半身だけを前傾した姿勢
- 首だけを横に向けた姿勢
- 腰をひねって顔を背けた姿勢
くしゃみはその多くが突然起きるため、周りの人に唾が飛ぶのを避けようとしてとっさに顔をそむけようとします。腰痛のない人にとっては何気ない動作でも、腰痛持ちの方にとってはその動作が原因で、腰に大きな負担がかかってしまうケースもあるのです。
くしゃみを我慢するのも危険!
くしゃみをして腰に激痛が走った経験を一度でもすると、次からはくしゃみが恐怖になってついつい我慢をしようとしてしまう人もいるでしょう。しかし、くしゃみが出そうになった瞬間に、鼻を指でつまんだり、口をふさいだりして無理に止めようとするのはやめましょう。実はこの何気ない動作がかえってカラダに大きな負担をかけてしまう危険性もあるのです。
くしゃみというのはもともと、鼻の粘膜に付着した花粉やホコリなどの異物を吹き飛ばすために神経反射として起こる筋肉運動で、その瞬間には爆発的な力がカラダにかかっています。そのため、鼻をつまんだり口をふさいだりしてくしゃみを止めようとすると、気道に大きな圧がかかってしまい、耳がキーンとして痛くなるだけでなく、喉や鼻にも大きなダメージを与えてしまうこともあります。ひどいときには、脳や脊髄にも悪影響を及ぼす危険性もあり、もともと腰痛がある人にとっては腰への負担が増して腰痛を悪化させてしまう可能性もあるのです。
腰への負担が少ないくしゃみのやり方
では、腰痛持ちの人がくしゃみをする際にどのようなことに気をつけたら、腰への負担が少なくなるのかを解説します。
ポイントは、座れる時には座って、膝や机に手をついてくしゃみをするということです。
膝や机に手をついて前かがみになることで、くしゃみの勢いをうまく逃すことができるのです。私たちのカラダは、くしゃみをすると腰部や椎間板に最大で300kgもの負荷がかかるといわれることもあります。本当にこれだけの負荷がかかっているとすると、自分の体重の何倍もの重さが腰や椎間板にかかっているのと同じです。
ところが、膝や机に手をつくというちょっとした支えが加わるだけで、腰にかかる負担を大きく軽減させることができます。近くに椅子などがなく座ることが難しい場合には、手すりや壁、机などにつかまってくしゃみをするだけでも構いません。
外出中などでそのどちらもできない場合には、なるべくカラダを前傾させずに、お腹を手で押さえながらくしゃみをするだけでも、腰に伝わる衝撃を幾分か和らげることも可能です。
一年の中でも花粉が飛びやすい春や秋は、腰痛持ちの人にとって要注意の季節です。急なくしゃみで腰痛を悪化させないためにも、まずは悪化させるようなくしゃみの仕方をしないこと、次に、座ってくしゃみをするなどの負荷の軽減を意識するなど、今回ご紹介した内容を心がけましょう。