肩こりが起きる仕組み
肩こりは、首や肩周辺の筋肉の血行が悪くなったときに起こる症状だとされています。人間の頭部は3~7kgもの重さがあるといわれており、その重さを支えているのが首から肩にかけての筋肉です。また、肩の筋肉は背中の筋肉と連携して、腕を動かす働きもあるため、負担がかかりやすく、疲労しやすい部位だといえます。そこに、姿勢の悪さ、パソコン作業などでの目の酷使、精神的な緊張、寒さでカラダが縮こまる(肩に力が入る)、運動不足などの要因が加わると筋肉疲労を起こすことがあります。筋肉は疲労すると乳酸と呼ばれる疲労物質が溜まってかたくなり、血行不良を引き起こしてしまうのです。
一方、筋肉疲労ではない原因で肩に痛みを感じることもあります。関節などの炎症によるもので、代表的な例が四十肩や五十肩と呼ばれる症状です。肩周辺に強い痛みを感じるため「肩こり」とひとくくりにしてしまいがちですが、筋肉疲労の肩こりとは原因が異なるため、対処法も異なります。
冷したほうが良い肩こりのケース
基本的に、痛みが強い場合は冷やすと良いでしょう。判断の目安は、お風呂に入ったときにどのくらいの痛みを感じるか。強い痛みや疼痛を感じる場合は、四十肩や五十肩、寝違えによる炎症を起こしている可能性があります。また、腫れていると感じるときも冷やすことが基本です。冷やしたときに痛みがやわらぎ、心地良く感じるかどうかも判断のポイントになります。ただし、四十肩や五十肩のケアとして冷やす場合は、強い痛みを感じている急性期のみにしたほうが良いようです。冷やし続けると、肩周辺の血行が悪化してしまうこともあるようです。四十肩や五十肩の痛みはすぐには治まらないので、痛みが発生してから1週間ほどを目安にすると良いでしょう。
温めたほうが良い肩こりのケース
痛みがさほど強くない場合は、温めることを基本としましょう。判断の目安は、お風呂に入ったときに心地良さやリラックス感が得られるかどうかです。得られる場合は、お湯の温かさで血行が促進され、筋肉疲労が和らいでいると考えられます。肩を冷やす方法
肩を冷やしたいときには、次のような方法で対処できます。水で濡らした後にしぼったタオル
水で濡らしてしぼったタオルを痛みのある部位にあてます。衣類に触れないように気をつけましょう。冷湿布
市販の冷湿布を貼るという方法もあります。タオルの場合は手で押さえていなければなりませんし、衣類が濡れないように気をつけねばなりません。その点、冷湿布は貼るだけなので手軽です。肩を温める方法
肩を温めるには、次のような方法があります。入浴
シャワーではなく、お湯をはった浴槽につかりましょう。肩はもちろん、カラダ全体がじんわりと温まり、血行が良くなります。ぬるめのお湯での半身浴も、全身の血行促進には効果的です。半身浴では肩がお湯につからないので、肩にバスタオルなどをかけておきましょう。温湿布やカイロ
肩に直接貼ることのできる市販の温湿布で温めるという方法もあります。ただし、体質や体調によっては低温やけどを起こす可能性もあるようです。熱すぎたり、かゆみなどの異常を感じたりしたときには、すぐにはがしましょう。温湿布がない場合は、蒸しタオルを当てるという方法もあります。冬場に手放せないカイロも、肩を温めることのできる便利グッズです。低温やけどに気をつけ、皮膚に直接触れないようにTシャツなどの衣類の上から肩のあたりに貼ると良いでしょう。また、背中や首にも貼って全体を温めることでより効果が期待できます。
運動、ストレッチ
軽い運動やストレッチを行うことで、こった筋肉がほぐれて血行が良くなり、肩を温めることができます。肩を温めるストレッチ方法
肩を温める効果が期待できるストレッチを紹介します。肩がこったときに、ぜひお試しください。肩を温めるストレッチ方法1
肩甲骨を動かすイメージで、腕を水平にして肩を回します(10回)。肩を温めるストレッチ方法2
肩を上げて10秒キープし、一気に下ろします。これを2~3回行います。肩こりを感じたときに温めるか冷やすかは、痛みの強さや症状によって異なります。判断のポイントのひとつは、入浴時の感覚です。疼痛や不快感があるなら冷やし、心地良さを感じるなら温めましょう。ただし、四十肩や五十肩の場合、慢性期に入ったら温めるようにします。
自分ではよく分からない場合や、冷やしても温めても変化がない場合は、医師の診察を受けるようにしましょう。